
今や日本のホテルやマンションでは
おなじみのユニットバス。
でも実は、このユニットバスを世界で初めて
実用化したのは日本なんです。
そしてその舞台となったのが、
あのホテルニューオータニ。
さらにその開発を手がけたのが、
トイレやお風呂でおなじみのTOTOでした。
今回は、そんなユニットバス誕生の物語を
少しタイムスリップしてご紹介します。
日本中が初めての東京オリンピック開催に
向けて盛り上がっていました。
各国からやってくる選手や観光客を迎えるため、
東京では次々とホテル建設が進みます。
その中でも象徴的だったのが、
ホテルニューオータニ。
国家的プロジェクトとして注目を集め、
わずか17か月という超短期間で建設するという
大きな挑戦に挑んでいました。
当時の日本では、浴室といえば職人が現場で
一枚ずつタイルを貼って作るのが当たり前。

しかし、この方法には問題がありました。
工期が長くかかる
職人の技術差で仕上がりにムラが出る
水漏れやカビのトラブルも多い
短期間で1,000室以上のホテルを建てるには、
到底間に合いません。 まさに「浴室」が
最大のボトルネックになっていたのです。
そこで白羽の矢が立ったのが、
TOTO(当時・東洋陶器)でした。
ホテル側から「短期間で、高品質な浴室
を大量に設置できないか」と相談を受け、
TOTOの開発チームは
大胆なアイデアを思いつきます。
「浴室を、現場ではなく工場でつくってしまおう」
これまで現場で1室ずつ仕上げていた浴室を、
あらかじめ工場でパーツを成形し、
現場で組み立てる方式に変えるというもの。
これが、のちにユニットバスと
呼ばれるものの原型でした。
TOTOは試行錯誤を重ね、壁・床・天井・浴槽を
一体成形したユニットバスを開発。
それをホテルニューオータニに導入します。
結果は大成功。わずかな工期で
大量の浴室を設置できただけでなく、
防水性・清掃性・仕上がりの美しさでも
高い評価を受けました。
このとき導入されたユニットバスは約1,000室分。
これが世界で初めて
ユニットバスが実用化された瞬間でした。
ホテルニューオータニでの成功は、住宅業界にも
大きな影響を与えます。工場生産で品質を
安定させる「ユニット化」の発想は、
その後、マンションやアパート、
一般住宅にも広がっていきました。
今では、
工事が早い
メンテナンスしやすい
水漏れが起きにくい
というメリットから、ユニットバスは日本の
住宅の“標準装備”に。

さらに、2021年に開催された東京オリンピックでは
TOTOがオフィシャルパートナーに。
ユニットバスと東京オリンピックは昔も
今も密接な関係にあると
言えるのではないでしょうか。
https://www.youtube.com/channel/UCsbA8uOKp6SNUeOnrBZpdYA